大きな屋根の平屋















最も特徴的なのは居間と廊下を勾配天井(米ツガ張り)で繋げた住宅ではあまり感じることのない大きな空間です。この大きな空間・天井を支える3本の壁柱の間には本棚やデスクなどの家具機能を持たせたり、設備のコントローラーを一か所にまとめたり、廊下だけでなく異なる機能を付加しています。さらに壁柱には玄関や各個室への視線を遮りながら気配は感じられるような効果も生む開放的な空間です。開放的って寒そうだねと思われがちですですが、その為に断熱・気密性能をしっかり確保しています。住まい方次第ですがエアコンは必要暖房能力が約5.6kW、16畳用1台で家中の空気を冷暖房できる計算になります。「寒くなく暑くない」快適で省エネなお家を目指す上では無料で使用できる自然の力も利用します。冬のリビングには深い位置まで日光が届き、ソファでお日様のポカポカを感じながらお昼寝することも可能です。反対に夏場はなるべく太陽を遮ることを考えます。その為に太陽の高度を計算し軒をしっかりと出すだけでなく、庭に植えたたくさんの木々は春先に茂り庭を楽しむこと以外にも木陰で涼が取れること、植物の蒸散作用で周辺温度の上昇を抑える効果もあります。また廊下上部のハイサイドライトは採光だけではなく自然換気(排熱)を促す狙いもあります。このように自然の力を最大限に利用する建築デザインをパッシブデザインと言います。パッシブデザインだけでなく、そこで生活をする家族の為に平面プラン(間取り)もしっかりと考えています。これは我々が設計する時のルールであり定番のようなものでもありますが、水回り(お風呂・脱衣・洗面等など)とキッチン(パントリー・勝手口)を連続させ、二方向からアクセスできるようにします。裏動線とも言いますが、行き止まりをなくすことでできた回遊性は利便性に繋がります。現代的な生活スタイルに合わせて家事動線をまとめることが、そこに住まう家族のためになります。その他にも耐震等級3をしっかりと取得していることや、大工さんをはじめ各職人さん方々の丁寧な仕事など新しい令和という時代を迎え、今できることを全てつぎ込んだ質の高いお家が完成しました。
2019年12月竣工 松山市北条