小さな家の大きな暮らし(メリット編)
- 2018.10.24
いつもプランニングのプレゼンの際にはお話させていただいていた「小さな家の大きな暮らし」をスペシャル記事に掲載させていただきます。
以前から我々横田建設では「小さな家」をおすすめさせていただいていました。
それは予算に限りのあるお客様に対し「この予算じゃ○○坪ぐらいが限界ですね~」という田舎の工務店のおっさんがいかにも言いそうなテンションの下がる話ではなく、長年家作りに携わり、多方面からこれからの家づくりを熟考した結果、「小さな家」がおすすめであるということです。
そんな「小さな家」のメリットを紹介します。
①財布に優しい
「やっぱりお金かい!」と突っ込みが聞こえてきそうですが、やはり重要なお金のことから考えてまいります。
家づくりにおいて「○○万円/坪」という通称「坪単価」というものがあります。坪単価は乱暴な計算方法で、簡単に「うちは坪○○万円です~」と言ってしまうと、お客さんもそればかり考えてしまうので、あまり言わないようにしていますが、実際に家が建って建築費を面積で割ると坪単価がでてきます。仮にこれから建てるお家が70万円/坪とすると、お家が1坪小さくなるごとに70万円という大金が浮くことになります(乱暴な計算)難しい話ではないのですが、使わない物をため込む1坪の収納スペースに70万円をかけているという考えはみなさん持たれていない気がします。
小さな家にすることで建築費はもちろん浮きます。そのお金で仕上げ材を体に良い自然素材にしたり、断熱材を厚くしたり、床暖・薪ストーブ・ソーラーパネルなどの設備をいれたり、家の質を上げることが可能です。
また小さな家は冷暖房の効率もよく光熱費を抑えられるだけではなく、将来的なメンテナンスをする面積も小さくなれば、毎年の固定資産税も安くなります。大きな家を建てるために高額の住宅ローンを組み、頑張って返済する為に長時間労働をして家にいる時間が短くなってしまうのは本末転倒でございます。
②土地の選び方・使い方
家が小さければ、土地も大きな土地でなくてもかまいません。海が見えたり、家族が近くにいたり、立地条件を優先させて土地を探すことができるので土地選びの選択肢も増えます。
また小さな家なら敷地に余白が生まれやすくなります。余白があることで日当たりや通風も良くなれば、お庭をつくって子供たちをのびのびと遊ばせることも可能になるでしょう。
③老後も安心
育ち盛りの子供たちのために大きな家のほうが良いと思われるかもしれませんが、長い人生の中で子供に個室が必要な時間はほんの少しかもしれません。私の好きな建築家、堀部安嗣氏の著書「小さな五角形の家」にはこのような文章があります。
私は、住宅を設計する時の家族の基本単位は二人、もしくは一人であると考えます。子供が二人いたとしても家族四人が同時に同じ屋根の下で生活をする時間は意外と少ないものです。子供は学校に、お父さんは会社にいる時間が長く、また子供はやがて家を去ってゆき、さらに夫婦もどちらかが先に家を去ってゆきます。家族四人がずっと同時に生活をすることを基本にして設計をしてしまうと、二人もしくは一人になった時に寂しさと維持管理の難しさを感じる家になってしまいます。家族のためにと建てた広い住宅が、今となっては広すぎたという声を多く聞くようになりました。そしてそのことは空き家問題にもつながります。
つまり今の日本では、二人もしくは一人でいても家全体に目が行き届いて、寂しさや煩わしさがないスケールを基本として、しかし仮に家族四人が同時に居ても“狭苦しくない程度”を目指して設計するのがちょうどいいのではないでしょうか。
う~ん・・・氏の考えには説得力があり、信頼できる建築家だなあと思わざるおえません。
④掃除が楽
家が小さければ掃除をする面積も自然と小さくなります。また収納も量が決まっているので物が増えすぎません。本当に必要な大切なものとシンプルに暮らすことができます。タンスの中で眠っているモノは本当に必要なものですか?「かっこいい」「便利そう」「みんな持ってる」ものはあっという間に必要ないものに変わってしまいます。
⑤家族の距離が近くなる
居心地がいい大きな子供部屋は時として家族のコミュニケーションの隔たりとなることもあります。家が小さいと自然に家族との距離も近くなります。いいことあったのかな、友達と喧嘩したのかな、家族同士の些細な気配を感じ、物理的な距離だけでなく心の距離も近くなるかもしれません。
以上5点を小さな家の大きな暮らし(メリット編)として紹介させていただきました。少し激しい考え方なのではと思われるかもしれませんが、「省エネ」「縮小社会」「ダウンサイズ」「余白のデザイン」など時代の流れをくみ取ると自然の流れなのではないでしょうか。
次回は「小さない家の大きな暮らし(設計編)」をお届けします!