豪雨・猛暑・左官・温熱環境
- 2018.07.24
2018年、西日本豪雨災害。大変なことになりましたね。ここ愛媛県でも南予を中心に大きな被害が出ました。
幸い僕の仕事・生活の範囲では大きな被害はなかったのですが、タイミングを見てボランティアにも行こうと思っております。
豪雨の後は打って変わって梅雨明けからの猛暑!猛暑!猛暑!
この異常な連続猛暑の中、現場では作業が進みます。暑い中作業をしていただいている職人さんたちには本当に頭が上がりません。
大西の現場では外壁の左官工事を終えました。時間によって太陽の位置が変わり、なるべく陰で作業ができるよう職人さんたちも工夫しながら行っていました。(写真でも南側が影になっているのがわかります)
南側ですが、ベランダと軒で大きな影ができています。この季節、陰って本当に大切であると痛感いたします。
いままで軒が出ていない、通称「軒ゼロ」のお家も設計してきましたが、軒って本当に必要ですね。日射遮蔽に防雨に外壁の汚れ防止など「軒」には安心して住まう為の機能がたくさんあります。敷地などの問題もありますが、デザイン上という理由で軒をなくすのはいかがなものかと思います。
話を元に戻します。塗り材はいつもお世話になっている西条のフジワラ化学さんのジュラクペンアートで左官塗りを行いました。(ジュラクペンアートは道後の飛鳥乃温泉の内外装の塗り材としても使用されています)
しかし今回、いつもと変えてみたのはジュラクペンアートの中でも塗り材の中に入れる石を少し大きめにして見えるようにジュラクペンアート・ストーンという種類にしました。また色も白とグレーを1:1で混ぜる中間色の中間色を選び、石の感じも出てきて白でもなく、グレーでもなく、ベージュでもない、少し色のついた品のある色でありながらゴロゴロ石が見える重厚な仕上がりになりました。
そろそろ足場がのくので全体が見えるようになるのが楽しみです!
ちなみにこちらの大西のお家はお施主さんのご厚意もあり、9月か10月かぐらいに完成見学会もさせていただく予定ですので、見に来られる方は外壁の塗りの質感も見てみてください。
所変わって波止浜の現場は完成間近で各業者さんたちが追い込んでいる最中です。(なかなか面白い造形・プロポーション!)
室内では別の左官屋さんが工事をしていました。
こちらは見学会の予定はありませんが、ご希望の方には個別でご案内いたしますので、お問い合わせください。
それにしてもこの異常の暑さが続いている中、住宅の温熱環境の勉強をしている私はさまざまな温度を測ってみました。
横田建設の事務所
壁の表面温度、36.2℃(エアコン入、室温30℃)
天井(2F)の表面温度、38.3℃(エアコン入、室温30℃)
アルミサッシ(南側、直射日光)、アルミ枠47.4℃、一番熱いハンドルの所はなんと57.5℃!単板ガラスび表面は39.5℃でした。
15年前に建てられた専務の自宅兼事務所ですが、温熱環境に関してはこだわりがなく、断熱材も一応は入っているものの気流止などはされていないものだと思います(気密なき断熱はなんとやら)
続いて、大西の現場へ
室内壁(南側)、29.8度
室内天井(2F)、37.1度
アルミ樹脂複合サッシ(西側、直射日光)、樹脂枠36.0℃、後に隠れるアルミ部分、43.0℃、LOW-E複層(日射遮蔽)ガラス表面34.4℃でした。
壁、天井の温度を計っても窓を開けており、もちろんエアコンはない状態なので一概に比較・判断はできませんが、参考程度に。
築16年の我が家の廊下
木製サッシ(西側、直射日光)、木枠34.7℃、一般複層ガラスの表面48.7℃。
西側から吹く風が涼しいと母が大きな窓にしてもらっていますが、諸刃の剣感が否めません・・・。
と猛暑の中いろんな温度を測ってみました。外気温や風、室内の冷房のありなしなど条件が違うので参考程度ですが、このカメラがあることで様々なものの温度を可視化し知ることができるだけでなく、どこから熱が漏れているかもわかる便利アイテムです!
断熱・気密は勿論重要ですが、プランを考える時から温熱環境のことを検討する必要があります。部屋の性質・機能からどの方位を向いているのが良いか。しっかりと軒・庇を出して夏の日射を遮る。開口部は眺望と大きさによる熱損失のバランスを考慮し無暗に東西(特に西側)に大きな開口を設けない。そんな建築的ベースがありながら、予算が許すのであれば断熱材を厚くしたり、高性能のサッシや換気設備を入れてもいいのかなと思います。
真夏・真冬が厳しく長くなりつつあるこのご時世のこれからの家づくりをしっかりと考えます!
おしまい