急きょ石
- 2019.02.27
先月の話にはなりますが、弊社スタッフで再び高知に行こう!と予定を立てていました。
(3年前の高知に建築めぐりツアーを紹介したブログはこちら)
今回の高知行きは住宅建築という渋い建築系の雑誌の2月号で「土佐派の家」(リンク先参照)が特集されており、その発売記念講演が高知で開催されるということで、土佐派ファンの専務と僕と(益田さん)で講演会を聞きに行こう!と年末に受講の申込をし、質問を考えながら出発したところまでは良かったのですが・・・・
当日、運悪く最強寒波に当たってしまい、四国山間部では積雪&吹雪で高速道路は通行止め。前日の天気予報から嫌な予感はしながらも、ノーマルタイヤで爆進中。迂回をするにしろ山を越えをしないといけないので高知行きを断念。急きょ「香川でも行ってみるで?」と香川へ建築めぐりをすることに予定変更しました。
山間部は猛吹雪なのに行先の瀬戸内海は平穏そのもの。瀬戸内海式気候のありがたみ~!
最初の行先は「瀬戸内民族資料館」行ってみたいと思っていた場所の1つです。
(広角レンズで撮りながら正面の全景を撮っていない痛いミス)
建物を設計したのは香川県職員でありながら、陸上競技(三段跳び)でオリンピック選手(!)にもなった山本忠司氏です。
香川県では庵治石という石の有名な産地でもあり、資料館にもその庵治石がふんだんに使用されています。
(石積みの迫力)
(石の表情)
(元受付カウンターも大きな石)
(中も外も石)
乱立する石積みのボリューム
僕の感想は月並みですが、施設が位置する場所(大地)と建築が「地域性」という共通項でうまく調和し馴染んでるなという印象を受けました。
設計者のコメントにもこのようなことが書かれています。
―自然環境の中で建築という行為をするとき最も問題となることは、対立か調和かということであろうか。岩山を破壊することから始めたこの建築は明らかに自然破壊そのものであったが、丘の形にそって配置した建築の内部空間にもアップダウンが山の勾配にそってある。建築群で囲まれた内庭には自然のままの植生が残してある。それは囲まれた自然であり、建築の外側にも大きな自然が、こんどは建物を取巻いている。―
なるほどなるほど。では撮った写真で振りかえります。
(最初の展示室の大空間は圧巻。階段もかっこいいデザイン)
(天井の格子組から漏れるトップライトの光)
(壁とは接していない自立する中二階を覗き込む(わかりにくい))
(天井が一部高くなって自然光を落とし込むハイサイドライト)
(色々な階段と中庭)
(防水を巻き込みながら排水のため勾配をつけているベンチがある屋上展望スペース)
観覧順路を辿ると階段が多く、山の中を歩くように上下しながら外に出たり中に入ったり、中庭に面していたり、屋上展望があったりと様々なしかけがありました。
資料館HPにも建物の紹介がされていますがその中に以下のように建物の特長が記載されています。
・瀬戸内海国立公園を見下ろす山上に立地する。
・「海賊の城」のイメージで設計する。
・自然地形を活かし、外壁は建築工事の際に出た石を積み上げるように貼りつける。
・面積の大小、床面の高低がそれぞれ異なる10の展示室が中庭を囲むように配置される。
・館内合計170段以上を数える階段や屋外を通りながら巡る。
・小さな展示室にはそれぞれ窓ガラスをはさんで屋外にも展示スペースが用意される。
・展示室の展示壁面にはハイサイド窓が設けられ採光がとられる。
過去には日本建築学会賞も受賞している見どころ感じどころ盛りだくさんの素晴らしい建築でした。
木や土は住宅でもよく使用していますが、石という素材もチャレンジしてみたいものの1つです。
資料館を後にし高松市内にある山本氏が設計に携わっている喫茶店にも行きました。
内部撮影禁止のため写真はありませんが、老舗の喫茶店でありながらモダンなデザインやトップライト、庵治石も使用されている味わい深い喫茶店でした。
その後は丹下健三設計の県立体育館をちらっと車のなかから眺めて、栗林公園へ。
急きょ予定変更の香川だったので、公園内をゆっくり散策はできず早足で向かった先のお目当てはこちら。
池に浮かぶ島にあるハート型に刈り込まれたツツジ!
ではなく、奥にある建物「掬月亭(きくげつてい)」です。
掬月亭ではおいしいお茶(有料)をいただくと建物内部を見ることができます。
時間の関係でゆっくりみることができなかったのですが、この景色を一度見てみたかったのです。
一面の障子をあけると~
水面が見えます~!
季節によっては障子をすべてはずすこともあるようで、その時は建物の中にいながら、まるで船の上のように感じられるのでしょう。(障子には全て番号がふってました)
軒先の高さも低く抑えられています。ここに腰かけて鯉に餌をやりながら贅沢な時間を過ごしてみたいものです。
歴史的な建物から近代建築など様々な建築をめぐりそこで感じた「良さ」をインプットし、住宅など今の仕事に落とし込めるように(アウトプット)できたらなと思います。
高知での土佐派の家の講演会に行けなかったは残念ですが、香川の行ってみたかった場所行くことができ質の良いインプットの時間が取れました。
(土佐派の家の講演会の様子を知りたくSNSで検索しても内容などは何もでませんでした・・・)
おしまい