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尾道

  • 2019.03.29

先日、建築士会今治支部主催の尾道建築ツアーに参加してきました。数日前から当日の天気が春の嵐で雨風ひどいと言われていましたが前日ぐらいから予報も変わり、当日は曇りのち晴れとなりました。自称晴れ男パワーを発揮できたと思っています。

建築ツアーといっても尾道の千光寺展望台にロープウェイで登り記念撮影をしてあとはバス出発時間まで自由行動でしたの建築見学並びに町歩きというか、坂の町尾道を練り歩くことができたので大変いい経験ができました。

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千光寺展望台はかわいらしい建築ですが、こ展望台周辺の公園は改修予定になっています。コンペで設計が決まっていたのですが、なんだかんだで尾道市が白紙撤回。その後再度コンペが行われ新たな設計プランができあがりました。しかし昨年の西日本豪雨で尾道市も被災しているので災害復旧が優先で、千光寺公園の改修工事の予定は延期されているようです。

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坂の上からの見晴らしはよく、瀬戸内海を見渡すことができます。

近くには安藤忠雄設計の美術館もありましたが、今回は時間が限られていたので割愛・・・

展望台から街に向けて坂を歩いて降りていると中腹に LOGという宿泊施設が最近オープンしました。宿泊施設ではあるのですが、カフェなどはどなたでも利用することができます。

個人的にこのLOGが今回の建築ツアーの目玉でした。

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元々は昭和38年に完成したアパート。古くなったアパートを宿泊施設にリノベーションしいています。設計はなんと、スタジオ・ムンバイというインドの設計事務所で職人(もちろんインド人)など施工チームもかかえています。工事をしながら現地でデザインを決めたりモックアップをつくったりする手法が用いられているようです。

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中庭側。元々はこの中庭に木造の管理等があったらしいのですが、今回の改修で取り壊されています。取り壊した際に出てきた土壁を外壁の漆喰の吹き付け塗装にまぜていようです。なんとも言い難い微妙な色ですよね。
ちなみに中庭では若い女性スタッフが庭の土間を石張り?石積み?にする為に1つ1つ手作業で石を並べていました。この石は学生たいがワークショップを通じて人力で運び入れたようです。その他改修工事中も工事車両が近くにつけられないので、ポンプ車でコンクリートを圧送したと雑誌に書いていました。

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中にはこのような半外部空間があります。通路の脇のスペースであり、外壁側には建具もないので、台風の時は吹き晒されることになります。

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ここは内部空間です。左官仕上げのベンチや壁の色合い、窓際の心地よさなど。

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このLOGでは建築に対する「時間」というものについて考えさせられました。

築56年という時間を経て改修されたことや、改修工事の時間(スタジオ・ムンバイのデザインに対する時間のかけ方と日本の施工管理の時間の対立、工事車両が付けられない人力の手間)、LOGスタッフがこれからも手を入れる時間、今後時間と共に仕上げが(経年)変化する時間。今後の時間の経過でどのような変化をしてゆくのか、おもしろさと怖さを感じました。おもしろさと怖さって表裏一体なんですね。

その後、商店街に出てブラブラ町歩き。僕の好きな広島の設計事務所が改修の設計をしたお店でご飯を食べたかったのですが夜だけでした・・・。
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低い入口をくぐると中にはトップライトがある高い天井の半外部空間がありました。
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商店街沿いの古い町屋を改修した施設などを見て回りました。

歴史的背景からだと思いますが尾道という街は建物がぎゅうぎゅうに並んでいます。そのため現在の建築基準法には適合せず、建て替えができず改修をしながら使い続けられる建物も多いようです。
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またぎゅうぎゅうに並んだ建物の隙間には路地ができ、尾道の商店街沿いにはこのような薄暗い路地がたくさんありました。
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観光客も多く、この尾道の魅力を作っているのは光と影の対比ではないかなと思いました。明るい港や商店街の表(ハレ)の部分と薄暗い路地沿いの裏(ケ)の部分の対比を感じることができます。

これは建築でも同じことが言え、すべて明るい開かれた建築より、明るい部分もありながら暗い閉じた部分もある、その対比が単調でない奥行や深さを演出しているのではないかと。

明るさや広さや素材・色使いなど単調にならずに変化があるものが魅力的だと言えると思います。でも変化ばかりでも疲れます。そのバランスがとても難しいのすが・・・

尾道に建築を見学しながら、町の特長を発見し、それは建築でも言えることであると、さまざまな発見ができた建築ツアーになりました。

おしまい